各種資料・統計集

2 昭和23年法律第93号による裁判官弾劾法改正の際の国会会議録

(1)

第2回国会 衆-本会議-78号 昭和23年7月4日


● 議長(松岡駒吉君)

日程第3ないし第5は議院運営委員長提出の議案でありますから、いずれも委員会の審査を省略して一括議題となすに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕


● 議長(松岡駒吉君)

御異議なしと認めます。

日程第3、裁判官彈劾法の一部を改正する法律案、日程第4、國会職員法の一部を改正する法律案、日程第5、國会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律の一部を改正する法律案、右3案を一括し議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。議院運営委員長淺沼稻次郎君。
〔淺沼稻次郎君登壇〕


● 淺沼稻次郎君

ただいま議題となりました3法律案について、提案の理由を御説明いたします。

3案は、ともに議院運営委員会において立案したものでありまして、第1に裁判官彈劾法は、御承知の通り第1回國会において制定されたものであります。その施行後半歳となりますが、同法運用の実際の面において多少の改正を要すべきものがあると認められますところから、議院運営委員会において、この改正案を提出することとした次第であります。


今、その改正の要旨を御説明申し上げますれば、まず第1点は、彈劾裁判所及び訴追委員会は、いずれも独立してその職権を行うものでありますが、國会内に設けられた機関であります関係上、一般議院運営と調節をはかる要がありますので、その予算及び人事の面において、事務局及び法制局と同様に、両議院の議長と議院運営委員会が関與することを明定し、また裁判員及び訴追委員が國会開会中議院外に派遣される場合に限り、常任委員会と同様に議長の承認を要することと定めました。


第2点として、訴追委員会の活動の適正を期するため、最高裁判所長官以下裁判所の長が部下裁判官に罷免の事由があると認めた場合、訴追委員会に対し訴追の請求または通知をする義務があることを定め、その反面、これらの訴追の請求があつた場合、訴追委員は必ずその事由を調査しなければならないものとし、さらに訴追委員が衆議院議員としての任期の満了または衆議院の解散により在任していない場合の訴追機能の欠陥を補足するため、訴追期間が3年に限定されているのを、かかる場合にこれを延長できる特例を設けたのであります。


第3点は、かようにして彈劾裁判所または訴追委員会の活動の活発化が期待されます関係上、現在彈劾裁判所及び訴追委員会の職員がわずかに2名でありますのを4名に拡充し、これと併せて、その機構をして事務局の形態をとらせることといたしました。


第4点としては、彈刻訴追の事柄の重大性に鑑み、虚偽申告の罪について刑を減軽または免除する條件として、從來の自白につき、それが犯罪発覚前のものに限ることといたしたのであります。
(中略)


● 議長(松岡駒吉君)

3案を一括して採決いたします。3案は可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕


● 議長(松岡駒吉君)

御異議なしと認めます。よつて3案は可決いたしました。