裁判官弾劾制度について

(7) 訴追委員会の決定

 訴追委員会は、訴追審査事案について、次のいずれかの決定をします。

[1] 訴追の決定
 弾劾による罷免の事由(弾劾法2条)に当たる事実があり、弾劾裁判所に罷免の訴追をする必要があると認めるとき。

[2] 訴追猶予の決定
 弾劾による罷免の事由(弾劾法2条)に当たる事実があるが、情状により、弾劾裁判所に罷免の訴追をする必要がないと認めるとき(弾劾法13条)。

[3] 不訴追の決定
 弾劾による罷免の事由(弾劾法2条)に当たる事実がないと認めるとき。

 ただし、罷免の訴追又は罷免の訴追の猶予をするには、出席訴追委員の3分の2以上の多数でこれを決することとなっています(弾劾法10条2項)。

 なお、訴追審査の対象となっている裁判官が、裁判官の身分を喪失した場合は、審査を打ち切ります。また、「(3)弾劾による罷免の事由」に記載のとおり、弾劾による罷免の事由が発生した時点(例えば判決の日)から3年を経過したときは、罷免の訴追をすることができなくなります(弾劾法12条)。

 訴追請求状を受理してから審議議決に至るまでの期間は、半年から1年程度ですが、事案によっては、更に期間を要する場合があります。

 訴追するかどうかを議決したときは、議決の結果について訴追請求人に文書で通知します。ただし、訴追委員会の議事は非公開(弾劾法10条3項)ですので、決定理由などをお教えすることはできません。

 弾劾法において、不訴追決定に対する不服申立の制度は定められておりません。なお、裁判所は当委員会の決定の当否について審査する権限を有しませんので、不訴追決定の取消しなどを求めて、裁判所に訴えを提起することはできないとされています。また、一度訴追請求した裁判官につき、同一の訴追請求事由(実質的に同一である場合も含む。)に基づく再度の訴追請求はできません。